言語は、習うより慣れよ

この投稿はJournalyにも掲載させていただきました。

人はどうやって言語を獲得するのか?その答えは赤ちゃんにあるのではないでしょうか。なぜなら、世界中の赤ちゃんは言語がある環境にさえ置かれれば例外なく必ずその言語を身につけてみせるからです。それはもう、言語が勝手に身についたかと思えてくるほど見事に、そしてある普遍的な過程どおりに。

その過程のもっとも肝心なところはズバリ、インプットなのです。スティーヴン・クラッシェンという言語学者によるインプット仮説というのがあるんですが、簡単に言うとリスニングリーディングのことなんですね。赤ちゃんはみんな、話ができるまで何千時間も周りの人たち(主に両親)の言葉を必死に理解しようとして耳にしている。その結果として、一度も勉強したり授業を受けたりしたことがないにもかかわらず、脳の言語中枢に母語の構成らしきものが出来上がるんです。それは知識というより慣れで出来ています。無理なくしゃべることができたり、言葉の使い方が正しいかどうかがなんとなくわかったり、そういう言語直観が身につくわけです。

なので、本当に外国語がペラペラであることを目指しているのなら、まずはインプットを何よりも重視すべきです。いくら教科書の説明を読んだり文法ドリルを解いたりしたところで実際にその言語の自然の姿をたくさん頭に叩き込まなければ、自分に備わっている言語を習得する能力が活動することは絶対にありません。でも、ちゃんとインプット重視で進めばすべてが必ず後からついてきます。人が母語を使えることがそれを物語っています。習うより慣れよ、言語学習者どもよ。

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