最も難しい外国語は?

この投稿はJournalyにも掲載させていただきました。

日本語は難しいですか?英語は?中国語は?そもそも言語の難易度はどうやって決めるんですか?英語圏ではもっぱら日本語・中国語・韓国語・アラビア語の4か国語が最も難しい外国語として挙げられますが、それはあくまで英語のネイティブにとっての話であり、別に客観的にそのうちのどれか一つの言語がいちばん難しいというわけじゃないです。現に、英語であろうと日本語であろうと、音声言語であろうと手話であろうと、世界中の子供はだいたい同じ速さで、同じ段階を踏んで母語を習得します。つまり、全くの白紙から習得しようとするなら、言語の難易度なんて存在しないと考えられます。

しかし当然、外国語の習得となればとても白紙の状態とは言えません。だからこそ「英語話者にとって日本語は非常に難しい」のような発言は成立するんです。それでも、私はそういう言い方はあまり好きじゃありません。というのは、それを聞く言語学習者が余計な苦手意識を持ってしまいかねないからです。「英語は難しいから自分にはできないかもしれない」とか、「あのドイツ語ペラペラの人はきっと(自分にはない)才能があるんだ」とか、この類いのネガティブ思考はそういった苦手意識によるものだと思うんです。

はっきり言いましょう。外国語に対して苦手意識を持つ理由はひとつもありません。頭がいいとか悪いとか、才能があるとかないとか、勉強が得意とか苦手とか、そんなことは重要じゃないんです。口酸っぱく言うが、言語は慣れなんです。あらゆる知識を表し、共有する手段ではあるが、言語を使うこと自体は決して知的な働きではない。そこを履き違えてはいけません。どちらかと言えば、言語習得は長いマラソンみたいなものです。大変な努力を必要とするけど、一歩一歩だいたい正しい方向に進み続ければ、必ずゴールにたどり着きます。

私は日本語が好きで、その気持ちを満喫したい一心で勉強してきました。ここまで来るのは決して容易じゃなかったし、うまくいかない日もしょっちゅうです。だからこそ自信も誇りも持てるし、自分を下げるつもりは毛頭ない。けれど、断じて特別な才能があるわけではないんです。外国語の習得は誰にでもできることなんだと信じています。たとえその言語がどんなに難しいと言われようとも、です。

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